23)日本のレストランのみなさんへ!
= 究極の食事アレルギー!? =
さてさて、スペイン人たちの健康上の問題は“暴飲暴食”だけでなく、どうも“偏食”
にもありそうだということが、永年の研究の結果(?)わかってきました。さっそく、
その証拠を一つ一つご紹介していきましょう。
その一、意外に多いベジタリアン!
なんたって肉の好きなスペイン人。市場に行けば、因幡の白兎じゃないけど、全身、皮
を剥かれたウサギが丸ごと吊るされていたり、山羊だか羊だかの頭が並んでたり、さら
には何だかわからない動物の内蔵が、こともなげに売られています。
そうそう、カタツムリも彼らの大好物。だからみんなこんな肉類を食べてるのかと思っ
てたらそうでもないようで、最近はベジタリアン・レストランも次々開店しています。
でも人間は肉も魚も野菜も果物も、なんでも食べるように出来ていて、それぞれをバラ
ンスよく食べないと、身体のどこかに問題が出てくるんじゃないでしょうかねえ~?
(いやいや、これは単に私見です)
その二、魚介類アレルギー!
前にもお話ししたように、そのベジタリアン・レストランをはるかに超える勢いで、
日本食レストランが増えています。でもそこに、この魚介類アレルギーのスペイン人が
やって来ちゃうんです! 生はダメ、ならまだわかりますが、煮ても焼いてもダメ、と
なると、もう調理人はお手上げです。
その三、野菜アレルギー!
かてて加えて、こんな人種まで和食店に現れちゃうのですから、タマリマセン!!
この間も、行きつけの和食レストランで食べていたら、店主が頭を抱えているじゃあり
ませんか。よく聞いてみると、あるスペイン人が声高に「少しでも野菜が入ってたら、
私は身体がおかしくなっちゃうんです!」と主張してやみません。彼らは、ホンマに
ジコチュー。 アノね、味噌汁だってうどんだって煮物だって、野菜使うんだよっ!!
その四、フルーツ嫌い!
そして、我が家に同居中のスペイン人の女の子がコレ。野菜はオーケーなんですが、
果物という果物はすべて、オレンジジュースを除いてダメなんです。イチゴやスイカ、
メロンは野菜なんだよ! と教えても一切口にしません。
どうもアレルギーではないようですが、小さい頃からその食感が嫌いになり、今では
見るのもイヤなんだそうです。 スペインには安くて豊富なフルーツがあり、メロン
なんか日本に比べりゃタダみたいだというのに、なんともったいないこと!
その五、究極のイカアレルギー!!
これはホントにびっくりでした。ある日、日本語クラスのスペインの女の子が、今日は
ひとつお願いがあると言い出しました。何かと見ると、紙一枚に書き込まれたスペイン
語を日本語に訳して欲しいとのことで、近く日本に行く友達に頼まれたのだそうです。
じつはその友達はイカアレルギーで、彼女の命に関わる重大なことらしく、そこには
なんと、次のようなことが記されていたのでした。
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日本のレストランのみなさんへ!
私は強度のイカアレルギーで、一切イカを食べることが出来ません。イカそのものだけ
でなく、イカの内蔵の汁や、さらにイカを調理した包丁や手が触れたものは、全部ダメ
です。もしそういうものをちょっとでも口にすると、私はその場で死んでしまいます。
どうぞ、それ以外のものを、私の為に作ってください。 よろしくお願いします!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つまりはこのお願いを手に、日本各地の食堂を渡り歩こうというわけです。 それに
しても、これを提示された日本の調理人たちは一体、どんな顔をするんでしょうか?
「これもイカん、あれもイカんじゃ、一体、何をつくればええんじゃい!?」
なんて言ったりしちゃって・・・(失礼)。 心よりお悔やみ申し上げます!!
まあ確かに、イカアレルギーの彼女の場合は、ちょっと試しに食べてみるということは
出来ないのでしょうが、フルーツや野菜、魚介類、肉類などは、もし医者から絶対に
止められているのでない限り、一度アタックしてみてもいいんじゃないでしょうか。
つまりこの中には、食わず嫌いや、飲まず嫌いのケースも、かなりあるような気がして
ならないのです。 もし人類が雑食動物としてつくられたのなら、バラエティーのある
食物を摂取することが、私たちの健康維持にとって重要な意味を持っているはずです。
子供のときから自由気ままに育てられるスペイン。それはとても素晴らしい事ですが、
その一方で、それこそ自己中心的に、自分の気分次第で食べ物を選択し続けていると、
どこかでその弊害が現れてくるのではないか。そんな、あらぬ心配までしてしまいます。
スペイン人さん、バランスよい食事をしまショ~ネ!!
ーー次回は「とんでもスポーツ中継!」をお送りする予定ですーー
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