道路は私のためにある!!
= 遠慮の キモチ =
さて、なんといっても、大ユーラシア大陸の東の端“日本”と、西の端“スペイン”
その習慣や考え方に大きな違いがあるのは当然なのかもしれません。でもその一つ一つ
には、毎日本当にビックリさせられます。道の歩き方、車の運転の仕方、店員の応対、
約束や決まり事とのつきあい方、感謝と謝罪のココロ、スポーツに皇室、毎日の食生活
から結婚生活、さらには勉強や学び方に至るまで・・・
・・・、何から何までアベコベなのです!
ここでは毎回それらを一つずつ取り上げて、楽しく、お話ししていきたいと思います。
けれどもその中には、ここスペインに限ったことではなく、ヨーロッパ全体、あるいは
欧米社会や外国人社会に共通のものも、かなり含まれているかもしれません。その点に
ついては、私がここスペインのバルセロナでの生活の中で感じたこととしてお許しいた
だければ幸いです。というのも私自身他のヨーロッパ諸国や世界各国で生活することは
不可能ですし、残念ながらそのような知識も持ち合わせていないものですから・・・。
▽
----- 道路は私のためにある ! -----
道の向こうから人が歩いてきます。 あの人、どっちに来るのかな? と事前に考えて
日本人なら、その反対側に位置を変え、ぶつからないようにしませんか???
でもスペイン人は(いやヨーロッパ人のほとんどは)、そんなことは全く考えません。
主人公はいつでもワタシ、ワタシがよけるなんてトンデモナイ。他の人が道を空けて
当然よ、だって道路は私のためにあるんだもの、と考えているとしか思えないのです。
だから彼らはいつでも道の真ん中を歩きます。そして道路上では逆方向の二人が、目と
鼻の先まで近づいてから、どっちにずれるかを探り合うのが、日常の光景なのです。
それも一人ならまだいいですが、手をつないだカップルも、三人四人ずれの集団も、
双子、三つ子用のベビーカーを押すお母ちゃんもみんなみんな、胸を張って道路の中央
を占拠しているのです。
それも、歩くだけではないのです。
彼らは道の真ん中に立ち止まって、チュッチュをしたかと思うと、なんと、大きな声で
長々とおしゃべりを始めるのです。他人の迷惑など、どこ吹く風、全然気にしません。
無礼者、そこへなおれっ。手打ちにしてくれるわ!
日本男児としては、時々そんな時代錯誤な言葉がのどから出そうになってしまって、
そんな時、ふと、妙なことを考えてしまいました。
私達日本人の脳ミソの奥底にあるもの。それはもしかすると百年以上も前の街道すじ。
大名行列の武士たちが大手を振って歩く傍らで、町民は頭を地面にこすって道路脇に
ひれ伏して・・・、そんな記憶なのではないのかな~?
いつでも“公”が優先し“私”は端に追いやられる。その妨げとなるものは、常に隅に
チヂコマッていなければならない。それも十分な距離を保っていなければ、侍が刀を
抜いたとき、その切っ先に触れてしまうかもしれないのだから・・・。
そして今道路は通行の為のもの。だから、車や急ぎの歩行者の為に、いつでも気を配り
なるべく端を歩く。立ち話をする時は道路の傍らに移動する。向こうから人が来たら、
あらかじめ方向を変える。むやみに大きな声を立てない。突然立ち止まらない・・・。
私達が持つ日常生活の常識には、そんな古い歴史の影が反映しているのでしょうか?
でもヨーロッパにだって、同じ封建時代があったのです。ならばもしかすると、それを
きっぱりと捨て去ったのがヨーロッパ人なのか? 私などにはとても計り知れません。
いずれにしても彼らは、道を歩くのも、そこで楽しく談笑するのも、はたまたサッカー
ボールで遊ぶのも、恋人や友達とチュッチュするのにも、なんの遠慮もありません。
何故なら彼らはいつでも、社会の、そして道路の中心、つまり主人公なのですから。
なんとおおらかな自由な人たちなのでしょう!
ハハハ、でもその裏では、毎日道路でぶつかり合い、周囲は交通の妨げばかり、やかま
しくて携帯で話しもできない・・、と、一方でイライラはつのるばかりだったりして。
ヨーロッパ人のみなさ~ん、
もう少し他人のこと考えて、遠慮のキモチをもってもいいんじゃないの?
次回は「謙遜と ヘリクダリ」を、お送りする予定です。
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